日本におけるAndroid搭載スマートPOSと決済イノベーション

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デジタル機器が普及し、世界的にキャッシュレス経済が推進される中、デジタル決済が増加傾向にあるのは驚くことではありません。この傾向は、世界で10番目に人口の多い国であり、1億2600万人の人口を抱える日本においても同様です。ハイテクで高度に結びついた社会は、新しい技術をいち早く取り入れ、デジタル決済を受け入れる企業や個人の数を増やしています。

日本政府は近年、金融取引の効率化や利便性の向上、そして現金の取り扱いに伴うコスト削減を目的に、キャッシュレス化を推進しています。しかし、日本におけるキャッシュレス決済は、2010年の13.2%から2021年の32.25%に上昇したものの依然として多くありません。これは、2020年時点での、韓国93.6%、中国83%、シンガポール60.4%といった他のアジア諸国と比較しても遅れを取っています。

その理由として、キャッシュレス化は、日本人の嗜好に合わないことが挙げられます。犯罪率の低い日本では、特に高齢者にとっては、現金は信頼できる支払い手段であり、非常に重要な手段として位置付けられています。実際、多くの 日本人が現金を好み、個人情報の漏洩が第一に懸念されるデジタル決済と比べると、簡単で安全な取引方法だと考えられています。

しかし、日本政府はこれまで積極的に取り組み、キャッシュレス決済を2025年までに40%、将来的には80%にまで引き上げる「キャッシュレスヴィジョンを策定し、国内のキャッシュレス決済の普及を支援する環境整備に取り組んでいます。また政府は、2019年にはポイント還元制度を導入し、キャッシュレス決済の導入率を高めました。更に、パンデミックにより、消費者が取引時の接触を避けるため、現金以外の支払いも増加しました。

その結果、店頭での現金使用率は目に見えて減少しています。また、日本で最も普及しているキャッシュレス決済の手段であるクレジットカードも減少しており、今では、クレジットカードや銀行口座、プリペイドと連携できるQRコード決済が日本のキャッシュレス決済の主流になりつつあります。

こうした要因や、消費者行動、期待感のすべてが、キャッシュレス決済を前進させています。ただし、日本の決済エコシステムの複雑さも増しています。

日本における消費文化

日本には独特の文化があり、消費習慣も文化的、経済的要因によって形成されています。日本の消費習慣の特徴として、次のようなものが挙げられます:

  • 先進技術の導入: 

日本の消費者は技術的に非常に進んでおり、新しい技術をいち早く取り入れる傾向があります。これは彼らのショッピング習慣にも反映されており、オンラインショッピング、モバイル決済、スマートデバイスが大きな役割を果たしています。

  • 利便性:  

日本の消費者は利便性を重視し、利便性や効率性の高い製品やサービスにはお金を惜しみません。日本では自動販売機が非常に普及しており、世界最大級かつ最先端の自動販売機産業が存在します。

  • 品質と経験を重視: 

日本の消費者は、良質な製品やサービスを享受しています。加えて、店舗に足を運び、商品を試してから購入することを楽しみ、支払いも含めたショッピング体験を重視しています。

こうした高い期待があることから、日本の加盟店や企業は、決済機能をマッチングさせ、お客様のニーズに応えなければ、生き残ることはできません。

  • 急速に進むキャッシュレス社会:

クレジットカードやデビットカード、eウォレット、SuicaやPasmoなどのICカードなど、電子・デジタル決済手段の利用が、特に若い消費者や大都市で広まっています。現金やクレジットカードを必要としないため、消費者にとって便利で効率的な決済手段となっています。更に、安全性が高く、利用状況の把握も可能です。日本の交通機関が開発したSuicaとPasmoは、交通機関、自動販売機、店舗での買い物に利用できます。

 

近年、「LINE Pay」や「楽天ペイ」など、スマートフォンから直接決済できるeウォレットサービスの利用が大幅に増えています。非常に利用者の多いメッセージングアプリであるLINEは、2014年にサービス 「LINE Pay」 を開始し、以来、日本で最も人気のあるeウォレットの選択肢の一つとなっています。楽天のeウォレットサービス「楽天ペイ」は、楽天のECショップや「楽天ペイ」に対応する加盟店で、スマートフォンから決済できるサービスです。

しかしながら、日本最大のモバイル決済アプリは、2018年にソフトバンクグループとヤフーの共同出資で設立された PayPayでありこのプラットフォームのユーザーは3800万人います。同社はQRコードやバーコードを使った決済サービスを開発しており、これはインドの決済サービス会社であるPaytmとの共同開発となっています。ユーザーは自身の銀行口座とPayPayのアカウントを連携します。店頭での支払いは、QRコードをスキャンするか、店員がスマートフォン上のバーコードをスキャンして行います。2022年4月、LINE PayはPayPayと統合、後者はさらにLINEのメッセージングサービスをすでに利用している8000万人を超える日本人ユーザーにアクセスできるようになりました。

日本には、国内最大の携帯電話会社であるNTTドコモが「d払い」というモバイル決済サービスを提供するなど、他にもいくつかのモバイル決済事業者が存在します。

この傾向は、世界の他の地域でも見られるように、新興の決済手段の台頭や新たなプレーヤーの参入により、今後も続くと予想されます。

Android搭載スマートPOSは、シームレスなトランザクションを実現する未来です

加盟店が日本の消費者のシームレスな体験への期待に応えるためには、店頭のPOSが将来的に様々な決済手段に対応できるようにすることが必要です。

Android搭載スマートPOSは、従来の決済端末と比較して、高い柔軟性、使い勝手、取引時間の短縮など、多くの利点を備えています。また、NFC、QRコード、デジタルウォレット、加盟店専用にカスタマイズ・設計されたアプリなど、幅広い種類の決済を受け付けることができるため、あらゆる規模の企業にとって最適なソリューションとなっています。そのため、Android搭載スマートPOSは今後もシェアを伸ばしていくことが予想されます。Android搭載スマートPOSを採用する企業は、この新しい時代を有利に進めることができるでしょう。

Android AXIUM DX8000

インジェニコは、急速に変化する決済環境に対応するため、Android AXIUM DX8000スマートPOSを日本に導入します。DX8000は、Android 10の機能を活用し、パフォーマンス、生産性、セキュリティを最適化しながら、店頭でクラス最高のデジタル体験を提供します。DX8000は、EMVチップ&PIN、非接触、磁気ストライプ、デジタルウォレット、QRコードスキャナーを搭載しており、さまざまな決済手段に対応しています。さらに、データへの接続性、Bluetooth、および長時間バッテリーにより、特にレストランやエンターテインメント、小売などの業界では、持ち運びが容易になります。また、当社では、AXIUMプラットフォーム上にあらゆるビジネスアプリケーションを実装し、企業向けの新しい決済アプリケーションを開発するための専門のグローバルチームも用意しています。

AXIUMシリーズは、インジェニコが提供する一連の決済・コマースソリューションの基盤となっています。高度な端末管理、決済・コマースサービスのオーケストレーションによる、総合的なコマースソリューションへの道筋をつけることができます。

決済のイノベーション

インジェニコは、イノベーションをすべての行動の中心に置き、世界中のすべての人に決済を可能にすることを使命としています。

世界が複雑な決済エコシステムに進化する中、特にデータとお金に関わる場合、利便性はセキュリティなくして意味をなしません。日本の消費者が利便性を好み、同時に個人情報の漏洩を強く懸念しているという事実は、一見逆説的であるように思われます。しかし、インジェニコが最近行った富士通フロンテック・ノースアメリカとの提携が、そうではないことを証明しました。

手のひら静脈認証

このパートナーシップにより、手のひら静脈承認による、世界で最も安全で正確かつシームレスな生体認証決済ソリューションが発表されました。この革新的な技術により、加盟店はチェックアウトの迅速化、詐欺リスクの最小化、そして顧客体験の合理化を実現することができます。

手のひらの静脈のパターンは人によって異なり、手のひらの静脈の識別は世界で最も正確な生体認証技術の一つです。また、指紋や顔認証などの生体認証に比べ、より安全で確実な認証が可能です。加えて、実装や運用が容易であり、日本の消費文化にとても合っています。

PPaaSPayments Platform as a Service

決済とコマースの分野では、イノベーションが不可欠です。アジアは、キャッシュレス決済が強力に推進され、その土地の決済手段が好まれ、また地域内で何百ものeウォレットのライセンスが発行されており、断分された決済環境と言われています。大きく進展しているものの、これらの決済手段が相互に通信できないため、店頭で複数の端末を使用する事態を招いています。

インジェニコのクラウドソリューションである PPaaSPayments Platform as a Serviceは、決済、コマース、デバイス管理サービスを1つのプラットフォームで管理することで、この問題を解決します。その結果、顧客が加盟店に高度な決済・コマースサービスを迅速かつ経済的、効率的に提供することが可能になります。

インジェニコの使命は、世界中のお客様とパートナーに革新的な決済・コマースソリューションを実現することです。

インジェニコ・ジャパンの製品およびソリューションの詳細については、インジェニコ・ジャパンチーム[email protected]まで、お気軽にお問い合わせください。

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Xavier MICHEL 

President and Representative Director

Ingenico Japan

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