QRコード決済の準備はできましたか?

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QRコードが発明されたのは25年以上前ですが、私たちの日々の生活のあちこちで見かけるようになったのはついこないだのことです。初期では、日本の自動車メーカーが複数の工場にわたる在庫をトラッキングするツールでした。今では、チケットオフィスから広告で見かけますし、そしてもうすぐ私たちの財布の中にも入っているようになるでしょう。

 

今やQRコードは、特にアジアで店舗やレストランでの支払いやトランジットで使用されるようになっています。しかし近い将来この技術はもっと世界に広まるでしょう。

QRコードはどうやって機能するんですか?

幾種類かあるのですが、原則は単純です。ほとんどのモデルでは、店舗がQRコードを消費者に提示します。消費者がコードの画像をスマートフォンのカメラで読み取ると、決済ページに飛びます。モバイルコマース取引で見るような決済ページと似ているものです。

消費者が取引を承認すると、決済を確認するためにメッセージが店舗に返送されます。メッセージは消費者のスマートフォンにも表示されるので、消費者は決済が済んだことをレジ係に見せることができます。それだけです。

率直に言って、QRコードを利用するのは難しくはありませんが、非接触型カードやモバイルウォレットと比べるとそう早く簡単に使用できるものでもありません。しかし、消費者にウェブベースのサービスを利用させるので、ポイントやオファーなどの更なるエンゲージメントの機会が生まれます。

 

違うQRコードオプションは何ですか?

主な導入方法は2つあります。三番目のはそう一般的ではありません。これらの方法には長所と短所があります:

1.静的QRコード

静的QRコードでは、各店舗は自分の固定のコードを有しています。カウンターのスタンディングカードや壁のステッカーに表示することができます。静的QRコードは本当に安価かつ簡単に導入することができます。原則的に、平らな表面があれば、それだけで決済を受け付けることができるので。しかし、静的QRコードはどの消費者にとっても常に同じものなので、各取引についての情報を含むことはできません。つまり、消費者が取引額を自分で記入して、決済したことを店に示さなくてはいけません。これは、お客が並んでいるコーヒースタンドではうまく働きますが、多様な商品を売っていて、カウンターが様々なものを同時に購入しようとしている場合ではうまくいきません。お客でいっぱいの昼時のデリのカオスを想像してください。もし、消費者が間違えて$5.00の代わりに$500と入力してしまったら、返金を行う作業は非常に複雑になり得ますし、もし消費者が2日間ほど間違いに気が付かなかったら目も当てられません。同じく、消費者が$5ではなく5セントを入力してしまったということに気が付くのは容易ではありません。QRコードが静的なので、消費者が立ち去ったら店は取引をトラッキングしてその個人を割り出す術がないからです。

心配なことに、海外での事例から静的QRコードは非常に詐欺の被害を受けやすいことが分かっています。ちょっとレジ係の気を逸らしてスタンディングカードを自分の別のQRコードのものにすり替えるのは犯罪者にとって非常に簡単です。しばしば犯罪者らは非常によく似た社名の会社を立ち上げている場合があります。消費者はコーヒー代を払っているつもりで、全く別人に支払っていることになりますし、注意深い人でないと恐らく違いに気が付くことはありません。店が自分たちがずっと無料でコーヒーを提供していたと気が付くのは後で口座と突合せした時でしょう。

2.動的QRコード(店舗側で表示)

動的QRコードは、各取引についてそれぞれユニークなアルゴリズムを生成します。アルゴリズムは追加の関連情報、少なくとも取引額を含むことができます。各コードはそれぞれ違っているので、画面に表示されなければいけません。これをするために携帯電話を使っている店舗もありますが、多くは既存の決済ターミナルを利用しています。決済ターミナルは丁度いい場所(消費者が会計を済まそうとする場所)にありますし、その機能を備えていて便利です。動的QRコードが必要とするインフラは微々たるものですし、消費者が情報を入力する必要がなく、決済を確認すれば良いだけなので、その信頼性はより高いものになります。つまり間違いやもめ事は少なくでき、顧客の会計はより簡単に素早くできます。各コードは信頼がおける装置上でユニークに生成されるので、詐欺のリスクはずっと少なくなります。

3.動的QRコード(消費者側で表示)

このモデルでは、消費者が決済アプリを起動し、QRコードを店舗に提示します。カメラが内蔵された端末を使い、店舗はコードを撮像して取引を行います。それ以上消費者は何もする必要はありません。これは非常にセキュアなオプションで、店舗はサービス提供の時点で取引が決済されたことをいつも確認できます。消費者にとっても簡単です。標準的なeWallet (例えば、アップルペイ(Apple Pay)内でQRコードを作成することもできますし、非常にフレキシブルなので、プリントされたクーポンの使用など他の付加価値を付加したどんなサービスも可能です。短所としては、スキャナーやカメラを内蔵した端末が必要という点で、多くの市場ではそういう端末は普及していません。新しいスキームの作成コストが上がってしまいます。

市場にある他の支払い方法と同様に、QRコードにも長所と短所があります。静的コードは導入コストが低いですが、セキュリティリスクがあります。動的コードは、セキュアですが、消費者が提示するので、店舗は支払いを受け取るために読み取り装置を購入しなければいけないかもしれません。これらを決済方法として導入するかどうかはどのようなタイプのビジネスなのかによります。次に掲載するブログでは、QRコード決済の受付けについて店舗にとって最善なオプションとは何かをお話します。

Author
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Ian Benn

Global Head of Strategy and Business Development at Ingenico

Ian Benn is Global Head of Strategy and Business Development at Ingenico. Previously, he has held a number of senior roles in the payments and technology industry including leading payments for FIS in EMEA and global marketing at Misys. He is also a qualified coach and mentor working with a number of start-up business leaders. Ian is a member of the Pennies Foundation Advisory board and author of books on outsourcing and successful proposal writing. Ian is a frequent industry speaker and blogger and is seldom short of an opinion.

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